編集後記

元々麻雀荘として地元の方々が集まる場であった物件雀。 元雀荘の空き家というと一見ネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、この物件だからこそ出せる良さもあると考えています。 全て取り壊して綺麗にリノベーションをするのではなく、室内の作りやレトロな家具、雀荘ならではの堀ごたつなど、この物件ならではの魅力を活かした活用が楽しみな物件です。 空き家となっていたこの物件に、令和の色を加えて、再び地域の方々の交流を生むような場所に生まれ変わらせることができたら素敵だと思います。

一般社団法人つなひろ企画

濱野将汰

令和の時代に出会ったこの場所は、懐かしい昭和の空気を纏った空間でした。三島駅近くという場所柄、ゆっくり過ごすよりも、入れ代わり立ち代わり多くの人が交鎖するイメージが湧きました。そして、場所の歴史が染みついた、壁の汚れをそのまま活かしたいと、そこはかとなく思ったのです。例えば、朝は、おばあちゃんの家でご飯を食べるような「地元食材を使ったおにぎりとみそ汁」といった、素朴だけれども元気の出る朝ご飯を提供し、人々を送り出す場所。夜は、「愛煙家」の集うシガーバー。クールダウンしたり、居合わせた人同士他愛もない話をしたりと、帰宅前にふらっと立ち寄る、人を迎え入れる場所。朝と夜と全く違う顔をもつ場所も面白いのではないでしょうか。

WEBライター

「OKUSURUGA BOARD」と「ヌマヅ看板シール」をサポートする人

増田 都佳佐

元々一軒家で、一般の家庭が住んでいたという空き家。 現在は使われてなく、中は昔のような作りで正直、ボロボロになっており使い道がないように見えるような状態です。 ただ、この状態から県外の人、三島に住んでいる方々様々な人々集まって頂けるような写真を撮りたくなるような場所を0から作りあげれたらと考えるとワクワクしてしまいます。 中は昔ながらの作りの建物で和をモチーフとした作りになっている為、この物件ならではの魅力も多くあると感じました。 また、元々ある家具等を活かした再利用。 上記に自分達だからこその発想も加え、老若男女様々な方が気軽に寄って、楽しめるような環境造りできれば、素晴らしいことだと思いました。

お笑い芸人:現在芝本町物件に入居中。敷金0礼金0

ホイップライス(篠崎 駿佑)

三島の一等地 三島駅から徒歩5分の元雀荘、 雀卓を囲んで座る小上がりがあり、 壁がヤニで染まった四角い部屋。

私が考えた、この物件の継ぎ方

「靴を磨く社交場」

話を聞いているときに、小上がりに座っている人の革靴が目についた時に、 都心で靴磨きのサービスを見たことを思い出した。 階段の上に座り、靴を磨いてもらっている姿を見た、 小上がりがそんな感じに見えた。 三島駅は新幹線通勤している人も多く、歩いてる人を多く見る。 靴を磨いてもらう間、近くに店の挽きたてのコーヒーを飲みながら、 世間話をする。 そんな大人の社交場になったら素敵だと思う。

OKUSURUGABOARD 主宰

東海建設コンサルタント

齋 秀雄

なにかが終わったような場所でなにかが始まりそうな対話をする

事業の本番直前に大きな地震が起こった。日本中が11年前を思い出したことだろう。僕の実家は水戸市にある。東海第二発電所から20km圏内。福島第一原子力発電所と同等の被害にあいつつほんの僅かな違いで爆発を免れたのは後から知った。ニュースで流れる帰宅困難地域の映像は、まさに他人事ではなかった。コミュニティが一度に「空き家」になってしまった。2013年、「あいちトリエンナーレ」のテーマが”揺れる大地”だった。僕は映画セクションで作品上映と、街なかにプロジェクションマッピングを伴うライブを仕込んだ。美術家やキュレーターから多くを学び、地域の空き店舗やら自然環境のなかに作品/作家が介入することのトレンド?について自分なりの指針を持てた。

美術館や映画館の仕事と並行して、巨大倉庫や防災公園や屋形船などで展示やイベントを企画した。最中、とある作家との雑談で「地域おこしって言われてもアーティストが地域になにかできることより、こちらがグッとくることの方が多い。だから起こされるのはアーティストのほうだよね。」と。まったく同感!

さて今回は縁あって物件とアーティストの出会いが"同時"であるという好機を得た。これなかなかオリジナルだと思う。アーティストのための設え、物件に寄せたコンセプト、などなどから自由になったのだ! しかも最初から問題設定がない。地域ゆかりの義理もない。対話の密度と発想の飛躍により「途中」をつくる。展示やトークではないのでお客様もいない。日本中に点在する「空き家」それぞれの表情や物語に注目して、対話から飛び出たあたらしい種を、数日の旅行やセカンドライフ的移住とも違った中期的な時間の使い方を想像する事業。スクラップ&ビルドをやめて継ぎをさがす事業。

というわけで年度末ぎりぎりに静岡県は三島市に滞在、二人の作家はよく食べ、よく呑み、よく喋った。「空き家」は味わい深い施工や家具、器具、道具が散在しているため、ありものでチャチャっと解決を見出す「ハック」の精神に親和性があるように思えた。

とりあえず、を更新し続けてユルい輪郭を保つ。それが意外と住人(アーティストに限らず!)の意識も緩め得ることにつながりそうな予感がした。"ひとつの場所で、ひとつの職で" のような縛りを解いて、多拠点で季節労働をしたり、名刺や肩書が複数あって、学業や仕事や家庭に空白期間があったって気にしない。そういう人々がもっと増えていくと、物件も(アートも?)ますます風通しがよくなりそうだ。

キュレーター

澤隆志